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1984年8月22日〜1985年1月6日に10件の川崎病(KS)−稀な6歳以下の小児病−がCDCに報告された。内訳はCDC基準にあう187例と疑わしい75例である。発生は10州とコロンビア地区で21週の間におこった。その後も患者報告が続いている。10件中6件は都市部に発生した。
患者年齢は7週から12年7ヵ月(平均で2.6歳)性別のわかった186例中109(59%)が男。人種別は白人59%,黒人29%,アジア系9%,スペイン系2%。国中で187患者中159(85%)が入院。再発例がカリフォルニアで2例,ノースカロライナで1例あった。今日まで死亡例は報告されていない。
患者186人中62(33%)は血管系合併症があった。冠動脈瘤が37(20%)に報告され,1人は心筋梗塞,2例は心膜炎を伴った。冠動脈瘤はKS発症後2〜8週まで検出されないのでこの合併症の数はまだふえる可能性がある。心筋炎が12例に報告され,1人は心搏動停止,もう1人は心筋梗塞と心膜炎を伴った。他の8患者は心膜炎だった。1人は繰り返しの狭心症で心臓カテーテル法をほどこした。2例は末梢血管合併症で壊疽をおこし切断が必要だった。1人は発作があり,1人は一時的片側麻痺があった。
心臓血管以外に報告されたKS合併症としては無菌膿尿症/尿道口炎(14例),胆嚢水腫(8),肝炎(6),関節炎(6),無菌性髄膜炎(4),葡萄膜炎(2),小腸閉塞症(1),輸血を要する重症貧血(1)であった。
編者註:KSは1961年に日本の小児科医によって初めて記載された疾病で,米国では少なくとも1971年からみられている。病因は不明。ヒト−ヒト伝播は証明されていない。米国では発生のピークは冬と春である。冠動脈瘤が17〜31%にみられるとはいえ,死亡はまれである。米国と日本で1〜2%の患者死亡率が報告されている。治療法の効果は確立されていない。急性期のアスピリン投与,または大量のγグロブリン静注が冠動脈瘤の発生頻度を下げることを示唆する報告がある。γグロブリンの大量静注治療効果の評価が米国で最近進行中である。
CDC case definition:他で説明できない5日以上の熱の持続と少なくとも下記の規準のうち4項目をもつもの(1)両側の結膜充血 (2)少なくとも次の粘膜変化の1つ:唇の充血または亀裂,咽頭充血またはイチゴ舌 (3)少なくとも次の四肢の変化の1つ:掌または足底の紅斑,手または足の浮腫または全身性または爪の周囲の剥離 (4)皮疹 (5)頸部リンパ腺症(1.5cm以上のリンパ節)
(CDC,MMWR,34,No.3,1985)
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