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Vol.6 (1985/6[064])

<外国情報>
ラッサ熱−英国


Shierra Leoneで働いていた27歳の英国人看護婦が1985年2月9日発症,2月末に症状が悪化した。3月5日の血液と尿および10日(帰国後)の材料からウイルスが分離された。3月8日特別機のアイソレーターで英国に送還,Ham Green病院の高度安全ユニットに収容された。接触者(一緒に帰国した家族および医療スタッフ)は3月29日まで監視され,全員無事だった。

この例は英国に輸入された10番目のラッサ患者で,英国へのアイソレーター輸送の第1号である。他の9例はすべて定期便で運ばれた。輸送時の状況は,4は発症中,2は潜伏期,3は回復期だった。感染伝播の報告はない。

5例は看護婦または医師,他の5例は西アフリカの田園地区に在住した者。大きい町や市への訪問者や行楽客の罹患報告はない。感染源のラットはふつうこのような地域にはいないので,旅行者の危険性は無視しうる。齧歯類の感染は主にヒト感染がおこっている地域に局在しているので,多分,皮膚や粘膜の傷のラット尿汚染によって感染するとみられる。また,これらの地域の病院では,医療スタッフが患者から偶発的事故で感染するのだろう。上記経験は空気伝播はまれで例外的であることを示している。

(WHO,WER,60,No.15,CDR,85/10,1985)






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