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Vol.6 (1985/6[064])

<外国情報>
AIDS,WHO会議


U.S. Department of Health anf Human ServicesとWHO主催でAIDSに関する国際会議が,1985年4月15〜17日アトランタで50国2000人が参加して開催された。ひきつづき18〜19日にWHO協議会が開かれ,情報内容と国際的関係が討議された。顧問団は,今日得られた情報でリスクグループのAIDS発生率を低下させる活動を開始できると結論した。会議の主な結論と勧告は次の通りである。

WHOに対して:

・この分野に特別な専門技術を備えたCollaborating center網を確立すること。センターはスタッフの訓練,レファレンス血清の供給,診断試験の評価,Working試薬の製造などについてアドバイスし,また,教育資料の作製や病歴,各国の感染状況の調査・研究を組織化する。

・一定の報告様式と新しい定義による世界的AIDSサーベイランスを整備する。

・有効なワクチンの開発とその国際基準の作成ならびに候補ワクチンの評価をおしすすめるために積極的役割を果たすべきである。

各国に対して

・LAV/HTLV−V(以下LAVと略)の感染経路を一般に周知させる:即ち,ヘテロおよびホモセクシュアルの性交,薬物静注常用者の注射針の共通使用,汚染血液または血液製剤,母子感染,さらに皮膚につきさす未滅菌の針や道具の使用。特に複数のセクシャルパートナーを持つ男女にリスクが高いことを知らせる。日常的,社会的接触や家族内感染の証拠はないので,AIDSを認定する国は適時正確な情報を与え,無用の心配をなくすことが必要である。

・AIDS,LAV感染,感染経路,臨床症状,社会心理学的考慮を含めた措置計画,対策を衛生関係者へ周知徹底する。

・国内のAIDSリスクを算定し,サーベイランスとLAV検査などの診断方法を確立する。

・AIDSに先行するLAV感染の早期検出のため,高リスク群について,WHOは定期血清検査を奨励し,比較しうるデータの収集と代表的血清を確保すべきである。

・可能な限り,供血者はLAV抗体を検査し,陽性血液は輸出その他製剤用に用いてはならない。陽性者には検査結果を知らせる。

・第8および第11因子濃縮製剤によるLAV感染のリスクは加熱その他の不活化処理で低下できる。

・臓器,精液,その他感染させる可能性のある材料の供与者にはAIDSについてよく知らせ,高リスク群には提供を辞退させる。可能な限りこれら材料は使用前に血清試験をおこなう。特に情報不明の死者または材料にはこれが必須である。

・LAV抗体陽性者は医者に相談すべきであり,州保健員に通知すべきである。

・衛生当局は患者の治療および材料の取り扱いのガイドラインを作るべきである。これはHB患者取り扱いに準ずる。

・各国はスタッフを感染のリスクから守るためにLaboratory Biosafety Manual(WHO,1983)にもとづく取り扱い安全基準を定めるべきである。患者材料の注意レベルはHBと同じ。LAV増殖および精製作業にはP−3レベルが要求される。

・作業者は採用時およびその後一定期間ごとの血清検査を行う。結果はWHOに報告されたい。材料提出および検査は同意のもとになさなければならない。

・国は血清検査の結果とAIDS患者の確認について秘密保守の重要性に留意すること。検査は同意のもとになされなければならない。

(WHO,WER,60,No.17,1985)






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