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第22回WHO会議(1969)の決議により,1970年以降WHOは疫学週報に各国からの報告にもとづいてポリオの年間発生状況を報告している。
概況:1983年は6WHO地区の126国(報告システムの人口の83%をカバー)から合計25,464のポリオが報告された。1981年と1982年は43,225と33,919だった。限られた範囲の収集情報なので,このデータは実際のポリオの低下を意味するのかunder reportingなのかわからない。
この情報の不確かさは,跛行者の特定調査の結果と対比すると明らかである。例として,Bangladeshでは1983年の跛行者調査から10万対12のポリオ発生が推定された。これによれば年間発生数は9600となる。これを報告数113と比較すると報告率は1%である。同様にCongoの推定数は3つの主な町だけで322例だが報告数は3,Sudanでは最近報告はないが,調査成績からは4600が発症し,3600が後遺症を残していると推定される。
結論:過去3年の報告数は減少しているが,このデータが真の状況を示しているとはいいがたい。サーベイランスおよび報告システムが問題であり,またしばしば報告が国の一地方に限られている。その上,すべての国が規則的に報告しているわけではなく,発展途上国の公式データは実際の患者数の1%から多くても15%を示すものである。
しかしながら,これら欠陥はあるにせよ,報告データはポリオの臨床,疫学パターンおよび世界の情勢について多くの情報を提供するものである。
ますます多くの国がポリオワクチンを子供に導入している。ワクチン接種の拡大と患者発生数の低下との相関を数的に示すのはむずかしいが,患者数の低下が直接ワクチン計画の改善を反映していることは疑えない。なお一層,協調したワクチン計画の努力が期待される。
1983年現在,ポリオはいまだに予防計画や衛生状態が悪い多くの国で主要な問題である。サーベイランスとワクチン投与による対策の強化と環境衛生の改良および生活状況の改善が要求される。密接な国際協力が有効な対策の推進力となろう。
(WHO,WER,60,No.23,1985)
表Poliomyelitis in 1983
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