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Vol.6 (1985/8[066])

<外国情報>
AIDS診断基準の改訂−米国


AIDSの患者は1981年夏に初めて記述され,患者報告の国内診断基準は1982年9月にMMWRに公表された。その後AIDSの病原として,T-cell lymphotropic virus type V/lymphadenopathy-associated virus(HTLV−V/LAV)が発見された。AIDSは直接このウイルスの感染によるか,または感染がひきおこす免疫不全による2次的結果である。症状は,無症状,非特異的徴候,自己免疫的神経異常,種々の日和見感染およびある種の癌などである。

AIDSは病因がわかる前に報告がきめられ,これには確実に重篤な免疫不全の影響がみとめられる2次的状況のみが含まれた。

AIDS患者の診断規準は1985年6月2〜5日のConference of State and Territorial Epidemiologists(CSTE)において討議され,次の決議が承認された。

1.患者報告に用いられている診断規準は,HTLV−V/LAV感染の重篤な症状として使用し続ける。

2.CDCは,より総括的規準と分類を作成する。

3.国内報告に用いられるAIDS診断基準に次の補正をおこなう。

a.基準が要求している日和見感染がない場合,患者がHTLV−V/LAVに対し血清学的またはウイルス学的検査で陽性ならば次の疾病はAIDSの症候と考える。

(1)培養,組織学的または抗原検出で診断されたヒトプラズマ症(肺,リンパ節に限らず)

(2)組織学的または便材料電顕で診断された1ヶ月以上の慢性下痢を伴う球虫症

(3)気管支または肺のカンジダ症で,光顕または気管支粘膜上の特徴的白色プラックによって診断されたもの(培養だけではなく)

(4)剖検で診断された重症の非ホジキン性リンパ腫(散在性,未分化)でB-cellまたは不明免疫型の場合

(5)診断時60歳以上の組織学的に確認されたカポジ肉腫

b.ウイルス検査の陰性証明がなければ,日和見感染のない13歳以下の子供の慢性リンパ腫性間質性肺炎はAIDSの症候とみなす。

c.AIDSマーカー日和見感染の診断後,3ヶ月以上たって診断されたリンパ性網皮性腫瘍は,AIDS症候に含まれる。

d.HTLV−V/LAVに対する血清抗体が陰性で,他に陽性検査成績がなく,T-helperリンパ球数または,T-helperとT-suppressorリンパ球の比において低下がないものは除外される。ただし,検査結果がない患者で他のすべての基準を満たしている場合は従来通りAIDSに含まれる。

CDCは上記診断基準の補正をただちに採用する。この変更により再分類されるのはこれまでの報告の1%以下で,新たな追加例は少ないとみられる。変更による患者は従来の例と区別しうるから,傾向の分析に支障はない。CDCはAIDS以外のHTLV−V/LAV感染の症状の分類案を作成し,解説のため広く配布し,その結果を公表する予定。

(CDC,MMWR,34,No.25,1985)






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