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Vol.6 (1985/10[068])

<外国情報>
成人センターにおけるサルモネラ食中毒−英国


1984年11月30日(金),成人センター(Social services day care centre for eldarly)および成人訓練センター(Adult training centre)の昼食によって身体および精神障害者,職員が下痢および嘔吐をおこした。双方に共通した食事は鶏肉パイ,野菜およびデザートである。月曜にパイだけが入手でき,検査され,サルモネラに濃厚に汚染(10万/g)されていたことが証明された。

合計102人中70人(69%)が発病,パイを食べた人では77%が9〜45時間に発症した。1人死亡,8人は附置されている総合病院病棟に収容された。3人が敗血症をおこしたが,1人以外は入院後3週間以内に退院した。

細菌学的検査の結果,2種のサルモネラすなわちS. stanlay(血清型4,12:d:1,2)と,非命名サルモネラ(4,12:d:−)がともにパイと患者の両方から分離された。後者はS. stanleyの単相性変異菌と考えられる。

調理については,調理場の設備は近代的で食品衛生基準に適合していた。パイは水曜に作製された。15羽(1羽1.5kg)の冷凍デンマーク鶏をまるごと室温で1日解凍し,翌日8時頃,調理人は部分的解凍状態の鶏の内臓を除き,個別にホイルに包んでオーブン中で204〜218℃,1〜2時間,さらに163℃2時間あぶり焼きをし,その後約21時間室温に放置した。金曜日午前8〜9時,調理人はホイルを除き,鶏の肉を1つの大型ミキサーボウルに入れ,電気肉挽き機で細切した。パイソースは煮沸後冷ました鶏肉およびきのこ粉末混合スープを煮込んで作り,細切した鶏肉にこのソースを加え,午前10時半に詰めはじめた。詰めたパイは約54.5℃の加熱キャビネットで暖められ,12時と1時の食事に出された。

この流行は死者1名を出したこともあって広く国民的関心を集め,マスコミ報道が正確な報告の確認や騒ぎの鎮静を妨害する結果となった。しかし,クリスマス季節を前に,トリ肉関連食中毒に対する注意をうながしたことは確かである。

パイの汚染の主な原因は調理鶏のゆっくりした冷却と冷蔵庫に入れなかったことで,解凍,調理,再加温(54℃)がすべて不適切である。食品取扱いスタッフの衛生教育を強化すべきである。

(CDR,85/32,1985)






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