|
軍隊関連のワクチンウイルス伝播がまた報告された。1985年1月24日,15歳女子が左上唇に径2cmの潰瘍,腕に4mmの水泡5ヶ,左眼に結膜充血を示した。軽度の発熱,疲労感,頸部リンパ腺症があった。皮膚病巣からワクシニアウイルスが分離された。患者は子供の時種痘を受けたが反応せず,瘢痕はなかった。抗生物質と抗ワクシニア免疫グロブリン投与で治癒した。患者は12月末に軍隊で種痘を受けた男友達の患部に1月初め湿布をした。患者の家族5人と級友45人に発症はみられなかった。
註:1979年の撲滅以後,数件の軍隊関連ワクシニアウイルス伝染が報告されている。最大は1980年12月〜1981年1月,カナダの6件の例で,4人が接種者から直接,2人は二次感染だった。他の例はすべて一次感染で,全員幼児期に正しい種痘免疫を受けていない。
種痘を受けていない若年層が増加しているが,これら年齢層は副反応が強いのに,同年輩の軍隊新入生とより頻度高く接触する。オルソポックス委員会は,すでに8国が軍隊の種痘を中止したのにひきつづき,他の国でも中止し,WHOに報告するよう希望している。種痘をなお続ける国においては,非接種者との接触を避けるためにワクチン接種後2週間基地内に止まるよう勧告している。
(WHO,WER,60,No.33,1985)
|