HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.6 (1985/10[068])

<外国情報>
涙からのLAV/HTLV−Vの分離


本ウイルスは血液,精液,唾液など多くの体液に含まれるが,細菌NIHで患者の涙から分離された。患者はP. carinii肺炎と播種性Mycobacterium avium intracellulare感染のある33歳女性で,眼の異常はなく,所見は正常だった。他のAIDSまたは類似疾患6名の涙の培養中3例が疑わしく,3は陰性だった。

涙からの感染阻止のための勧告は次の通り。

1.医療関係者は接触後手洗を励行,できればディスポ手袋着用が望ましい(特に手に傷のある時)。

2.眼に直接ふれる道具の消毒は(a)新調製の3%過酸化水素水に5〜10分浸す,または(b)新調製5000ppm遊離塩素−家庭用ブリーチの10倍液または(c)70%エタノールまたは(d)70%イソプロパノールでよく水洗後乾燥する。

3.試着コンタクトレンズの消毒(a)コンタクトレンズ用過酸化水素消毒システムによる。または事前に耐熱性を確認の上,加熱(78〜80℃10分)。

過酸化水素以外のレンズ消毒用化学薬剤についてはまだLAV/HTLV−Vに対する効果を検査していない。上記勧告はNIHとCDCの実験データに基づいたものである。

患者の分泌液はすべてリンパ球すなわち,LAV/HTLV−V宿主細胞を含むから,よく調べればウイルスが検出されることになろう。しかし,risk factorを持たない家族への感染は報告されていないし,現在までウイルスが涙またはこれら医療器具から伝染した事実はない。

(CDC,MMWR,34,No.34,1985)

(WHO,WER,60,No.38,1985)






前へ 次へ
copyright
IASR