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非公式専門家グループが1985年7月15〜16日ジュネーブで上記に関する最近の知見を検討し,重要性と国際協力研究の必要性を勧告した。
3種のレトロウイルスが最近旧世界のサルから分離された。Simian T-lymphotropic virus(STLV)TおよびV型とMason-Pfizer monkey virus(MPMV) 関連因子である。これらは米国の数ヶ所の霊長類センターの免疫不全疾患サルから分離された。STLVVはヒトTLVと区別はしうるが,構造や抗原性に共通性がある。最近アフリカから米国に輸入された健康アフリカミドリサルからSTLVVが分離された。血清検査は米国およびヨーロッパの飼育ミドリサルおよびアフリカの野生サルの一部にSTLVV感染が20年以上前からあることを示している。
この発見とサル腎細胞(MK)について次のように考えられる。
a)ヒトウイルスと同様と考えて本ウイルスのin vitro増殖はリンパ球に限られるだろう。MK培養にはTリンパ球はほとんど含まれないとみられる。
b)1970年代にミドリサルMKで作られた生ポリオワクチンの代表的バルクと最終製品が逆転写酵素測定によってレトロウイルスの存在を試験された。その上MKは化学誘導の後電顕によりウイルス様粒子および粒子に伴う逆転写酵素活性を検査された。その結果レトロウイルス存在の証拠は全くえられなかった。
c)WHOのポリオ1,2,3型ワクチンのシードと,ヨーロッパおよび北米の20以上のワクチンロット試験ではレトロウイルスの証拠はなかった。また,ヨーロッパおよび北米のワクチン接種者250人はLAV/HTLV−V抗体陰性,うち30はSTLV−V陰性である。
d)生ポリオワクチン接種者の長期にわたる連続的追跡でレトロウイルス関連の可能性のある反応はみられていない。
WHOグループはSTLVの分子構造と分子生物学がHTLV研究のモデルを提供すると結論した。
(WHO,WER,60,No.35,1985)
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