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1976年中に全世界でペニシリナーゼ産生性リン菌(PPNG)が出現するとともに,耐性が多面的になった。1976/77年の米国のPPNG症例の大多数は主に東南アジアまたはアフリカからの輸入例であったが,1980年までは半数以上が国内伝染であった。
1983年,ノースカロライナの流行における高レベルの抗生物質耐性が染色体関連性耐性(CMR−NG)であることが知られた。本報告では,1983年から1984年に地方および州立検査所でCMRNGの検査を開始した23州からCDCに報告された結果を記載する。
CMRNGはベーララクタマーゼ非産生性で1.5〜1.6μg/mlのペニシリンを含む培地上に発育したか,あるいは10単位のペニシリンデスク周囲に26mm以下の阻止帯を示す株である。
1984年末までに総計446例のCMRNG感染が報告された。大部分はアンピシリンおよびペニシリン無効例である。このうち175株が送付された。症例の少なくとも30%はニューメキシコおよびオレゴンの同性愛男性である。感染の60日以内に外国旅行歴があったのは全症例の1%以下,売春婦による感染は5%以下であった。
CMRNG分離株の75%は発育阻止のために1mlあたり2μg以上,86%は1μg以上のペニシリンを要求した。87%は少なくとも2μgのテトラサイクリンを,98%は少なくとも1μgのテトラサイクリンを要求した。少なくとも50%においてはトリメトプリムーサルファメトクサゾール,エリスロマイシンおよびセフォキシチンに対しても耐性の増大がみられた。分離株の80%は同一血清型および栄養要求型(1B−1,プロリンまたはprototrophic auxotypes)に属した。これらは以前の成績に比べてペニシリン,テトラサイクリン双方に対して著しく耐性が高まっている。
本報告は限られた州の報告なので片寄りがあるかもしれないが,ニューメキシコとオレゴン州で同性愛者に症例が集中しているのは事実である。PPNGとは異なって州間,あるいは外国旅行と関係づけられる症例は少なかった。ペニシリンあるいはアンピシリン無効例にテトラサイクリンは用いるべきでない。今のところスペクチノマイシンが治療のための選択薬剤である。
(CDC,MMWR,Vol.33,No.4SS)
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