HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.7 (1986/1[071])

<外国情報>
1985年の結膜炎の流行−シンガポール


 1985年3〜5月に合計40,612人の結膜炎外来患者が記録された。多くは学童およびこれ以下の年齢で半分は患者との接触がなく,また接触者の70%は家族内感染だった。

 流行初期の国立外来診療所の外来患者92名について臨床および疫学調査がなされ,一部から眼ぬぐい液がとられた。

 症状は一般に軽症で単純な結膜炎。結膜下出血は6.5%,急性呼吸器症状が1/4にみられた。平均有病期間は4日(2〜9日)。患者の家族128人について調査したところ,71が感染,感染率は55.5%で15歳以下が高く,初発と2次感染の間は5.1日,最後の患者発生との間は8.6日(2〜27日),伝染が早いので,最初の週中に90.1%が感染した。感染は子供から家庭にもちこまれたもので,プール,ショッピングセンター,食品市場その他公共の場所とは関係なかった。家庭内ではベッド,タオル,眼薬等の供用が関連あり,汚染した手,あるいは上気道からの感染もありうる。

 コクサッキーA24(CA24)変異株が眼ぬぐい液14例中9から分離された。他のウイルスは陰性。

 CA24は1970年と75年にシンガポールで流行,その後は散発例から分離されていた。このウイルスの抗体の持続は短いらしい。他の結膜炎ウイルスより大きい流行をおこす。症状では区別できないので病因的には検査室診断が必要である。過去の例では家族感染で,発症1〜2日前の涙,のど,直腸スワブからウイルスが分離されている。

(Epid.,News,Bull.,Vol.11,No.11,1985)






前へ 次へ
copyright
IASR