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1985年7月,cystic fibrosis(嚢胞性線維症)の3児の喀痰と,彼らが利用していたリハビリ施設中の水浴療法プール水からMycobacterium chelonei var abscessusが分離された。
プールは1977年に開設され,近代的タイル張りで,1980年以降,塩素剤に代り重合biguanide剤が消毒に使われていた。管理は良好だが,タイルの破損間隙等に沈殿物がみとめられた。プールは日中はリウマチ病および整形外科患者(半年中に369人),ホスピス患者,夕方からはcystic fibrosisを含む多くの患者団体が利用した。
患児は7,14および15歳の少年で定期検査で菌が検出されたものであるがいずれも臨床状態に悪化はみられていない。3人以外はすべて陰性。
プールは閉鎖され,破損箇所の修理,塩素消毒,モニタリング等のため運営委員会が作られた。
M.cheloneiは発育が早い日和見感染環境細菌である。人体感染はまれで,主として注射後又は創傷感染に関連する。水泳プール肉芽腫症の原因となるM.marinum(balnei)は世界各地で水浴者の皮膚感染症をおこしているが,M.cheloneiの例はない。プールの消毒剤で塩素に代るものはないから,塩素を使用すべきである。
(CDR 85/41,1985)
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