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Vol.7 (1986/5[075])

<外国情報>
治療用免疫グロブリン製剤のHTLV−V/LAV感染に関する安全性


 米国で使用されるimmune globulin(IG),Hepatitis BIG(HBIG),intravenous(IVIG)およびその他特殊IGは数社でCohn-Oncley分画法で製造されている。この方法は一連の濃度をかえた冷アルコール沈殿操作によるもので,1ロットは少なくとも1,000人(HBIGと特殊IGはもっと少ない)のプラスマプールから作られる。1985年4月以降は血液の全単位のHTLV−V/LAV抗体が検査され,繰り返し陽性単位は廃棄されているが,1982〜85年製造のHBIGの2/3,IG,IVIGではあるロットがHTLV−V/LAV抗体を含む可能性があり,安全性が問題になった。

 疫学調査ではHTLV−V/LAV抗体陽性ロットを含め,HBIGおよびIG受給者に抗体陽転化および感染の徴候は全くみられていない。現在までHB治療のためIGまたはHBIGを受けた183人中HTLV−V/LAV抗体陽性例は他のリスクが否定できない1例のみである。HTLV−V/LAV抗体強陽性HBIGを受けた16人(1〜6アンプル/人,合計31単位)では,投与直後低レベルの抗体が検出されたが継続せず,6ヶ月後全員陰性。HTLV−V/LAV抗体陽性サイトメガロ特異IVIGを受けた16人の腎移植患者は10ヶ月以上抗体陰性。血漿板減少症のIVIG受給者134名は全員陰性。

 製造工程の6段階のウイルス感染価除去効果が測定された。各段階の分配または不活化による低下は101から104以上in vitro infectious units(IVIU)/ml,全工程のウイルス除去効果は1×1015IVIU/ml以上と計算された。感染者のプラスマ中の感染性ウイルス濃度は100IVIU/ml以下とみられる。FDAによれば,43人の感染者からのプラスマの幾何平均感染価は0.02IVIU/mlであった。したがって,この分画法のウイルス除去に関する安全性は非常に高いものである。

 CDCとFDAにおける38ロットの抗体陽性IVIGとIGの培養試験はすべて陰性だった。

 プラスマ中のグロブリンの半減期から考えると受動的に獲得された抗体はIG投与後6ヶ月は受給者の血清中に検出されうるから,最近IG(特にHBIG)を受けた者についてはこれを考慮する必要がある。

(CDC,MMWR,35,No.14,1986)






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