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Vol.7 (1986/5[075])

<外国情報>
ポリオ,1975〜1984−米国


 1985年9月,CDC指名専門家が1975〜1984年にCDCに報告された150例のポリオが疑われた患者について臨床,検査および疫学成績を検討した。全体として118例が確認され,1975年にきめられた疫学分類にしたがって分類された。

 米国のポリオ患者はワクチン投与前1951〜55年の年間15,822に比べ,1975〜79年は年間平均15例,1975〜84年には年間9例に減少した。1975〜84年の合計118例のうち,10(8%)は流行例(すべて1979年の1型野生株流行例),12(10%)は輸入例,11(9%)は免疫不全者で,このうち1981年の旅行者でない1例は米国における野生株散発例の最後の例である。残り85(72%)は散発例で71(60%)はワクチン関連例;このうち30(42%)はワクチン投与者,41(58%)は接触者。14(40%)は疫学的にワクチンは関連しないが,うち5例はワクチン様分離株を排出。

 米国では経口ポリオワクチンによって野生株麻痺ポリオを排除した。1980〜84年には45例中3例(2輸入例と1免疫不全例)のみが野生株によるとされた。あと1例の輸入例も疫学的に野生株によるとみられる。

 ワクチン関連例のリスクは,85例の患者と1973〜84年のワクチン投与量274.1百万から1:3.22百万dosesとなる。この期間のすべてのワクチン関連例104(投与者と接触者85,免疫不全者と接触者13,ワクチン様ウイルス排出者6)では1:2.64百万dosesである。

 1985年10月ワクチン諮問委員会は米国のポリオワクチン政策について議論し,結論として現方式(基本的には経口ワクチン使用,不活化ワクチンは選択的使用)は変更せず,しかし問題は継続検討事項とした。

(CDC,MMWR,35,No.11,1986)



TABLE1. Epidemiologic classification of reported poliomyelitis cases, by year-United States, 1975-1984





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