1972年以降イングランド，ウェールズおよびアイルランドの検査室から急性ＨＢ患者が報告されており，1975年以降は少なくともイングランドからは大部分の急性ＨＢ例が得られているとみられる。

　年間報告数は1975〜79年が約1,000例だったのが1981年以降は1,200をこえ，1984年はほぼ2,000となった。約３／４が男性，全体の３／４は青年で子供と老人は少ない。15〜64歳の発生数は10万当たり男が６，女が２，1975〜79年と比べて男性が50％増，女性は不変。

　1980〜84年の報告合計6,696件中4,180（62％）が詳細な報告をした。過去と同様麻薬常用者が最も多く，ホモの男性は全患者の８％。

　麻薬常用者，ホモ，医療関係者を除いた接触感染者は626（９％）。このうち366（59％）は両性愛者，63（10％）は家族。女性が多く，男性は32％。ＨＢは精神障害者施設に常在することがある。患者55と職員43の感染はキャリア関連とみられる。腎施設における流行の報告はなかった。

　医療関係者の急性ＨＢ感染は５年間に364例で1975〜79年の287よりかなり増加した。しかし，1980〜84年の80（22％）は外国で働いているうちに感染した（1975〜79年では９％）。ＨＢ免疫グロブリンが入手可能だが，多くのスタッフは暴露を報告しないか気付かない。13（0.8％）は治療したが発症した。腎施設関連２例はいずれも医師で，１人は高度感染性キャリアの移植患者から頻回採血を行ったが，感染の機会は不明。他の１人は施設内にキャリアがいないので施設外の感染とみられる。医療従事者の死亡例はない。

　職種別発生数（および10万当たりの年間数）はナース95（４），精神障害者施設52（27），検査室28（37），医師26（11），外科医14（25），歯科医13（17）などである。1975〜79年に比べナースでは減少したが，医師，歯科医はかわらず，検査室および外科医では２倍に増加した。これらの感染はワクチン接種で防ぐべきである。

（ＣＤＲ，86／16，1986）