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厚生省感染症サーベイランス事業において,無菌性髄膜炎の全国平均一定点当たり患者発生数は1982年11.82,1983年19.35,1984年11.05,1985年11.66で,1983年の大流行に対し,1985年は平年並みであった(図1)。
髄膜炎患者からのウイルス分離は,1983年はエコー30,1984年はコクサッキーB5が主流であったが,1985年はエコー6が多数報告された(図2)。1985年に髄膜炎患者より検出されたウイルスとして,1986年6月までに565が報告され,この内訳はエコー6が268と半数を占めるほか,エコー11,エコー16,CB5,CB3,エコー3,ムンプス,CB2が3〜5%ずつ検出されている。
エコー6の分離ピークは7月(図3)で,これは髄膜炎患者の発生パターンと一致する。さらに,エコー6の検出された髄膜炎患者の年齢分布は5歳をピークとして0〜9歳が88%を占めており(図4),これも無菌性髄膜炎患者の年齢分布(表1)をよく反映している。
エコー6は1982年を除き毎年少しずつ検出されていたが,1985年に407と急増した(表2)。その検出は長崎,鳥取,香川,愛媛,岡山県など西日本を中心に18県市より報告されている(表3)。検出方法はすべて細胞培養である。エコー6の検出されたものの主な臨床症状は,発熱308(75.7%),髄膜炎268(65.8%),上気道炎103(25.3%),胃腸炎74(18.2%)などであった。髄膜炎患者からのエコー6報告268例中170例は髄液,127例は便,110例は鼻咽喉材料から分離された。
図1.一定点医療機関当たり無菌性髄膜炎患者発生状況
図2.無菌性髄膜炎患者からのウイルス検出状況(1985年)
図3.無菌性髄膜炎患者からの月別ウイルス検出状況(1985年)
図4.無菌性髄膜炎患者からの年齢別ウイルス検出状況(1985年)
表1.無菌性髄膜炎患者年齢群別発生状況(1985年)
表2.年次別エコー6検出数
表3.無菌性髄膜炎患者からのエコー6検出状況(月別・住所地別 1985年)
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