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Vol.7 (1986/9[079])

<国内情報>
広島市における過去3年間のウイルス性結膜炎の病原検索について


 1983年4月から1986年3月までの3年間に,流行性角結膜炎(EKC),咽頭結膜熱(PCF),急性出血性結膜炎(AHC),その他に急性結膜炎(AC)と診断された患者,計709人から採取された結膜ぬぐい液のウイルス分離成績について報告する。

 分離陽性者は324人(45.7%)で,このうちの316人(95.5%)がアデノウイルスであった。検出された主な血清型は,4型,3型,19型,37型,8型であった。

 各ウイルスの分離状況を表1に示した。4型は1984年と1985年に分離され,とくに1984年8月には患者のピークに一致して多数分離された。19型は調査を開始した1983年4月からほぼ毎月のように分離されていたが,1985年以降分離されなくなった。それに対し,我が国ではほとんど分離報告のなかった37型が1984年5月から分離され始め,1985年秋以降は19型と入れ替って流行していることが確認された。従来からEKCの主病因とされている8型は毎年夏季を中心に分離された。

 臨床診断別分離数を表2に示した。EKCからは4型,19型,3型,37型,8型,PCFからは3型,4型の順に多く分離された。8型と19型はほとんどがEKCからの分離で,他の型に比べ,EKCに特異的な傾向がみられた。



広島市衛生研究所 池田 義文,野田 衛,太田垣 寧,松石 武昭,荻野 武雄


表1.月別分離数(広島市)
表2.臨床診断別分離数(広島市)





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