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Vol.8 (1987/2[084])

<外国情報>
キャンプ地のカンピロバクター−英国


1986年6月8日から一週間,ウェールズのアバガンベニー,パンディーで3グループに分かれて滞在した小学校キャンプ集団の60人の児童(9〜11歳)と7人の成人中,児童25人と成人4人が滞在中または帰ってまもなく胃腸炎をおこした。

 彼らは放牧地でない野原にキャンプし,テントは底布と縫合されていた。給水はヒツジの放牧地から100メートル離れた浅い井戸から得られていた。放牧地を数多くの小川が流れていた。井戸は高さ15センチのコンクリート囲いの中で鉄のマンホールでおおわれていた。井戸水は地下のパイプで建物に供給されたが,濾過も塩素添加も行われなかった。キャンプ者は外部水栓から2個のプラスチック容器と古い蓋のない牛乳缶に水を汲み,牛乳缶はキャンプ場の木の下において主に洗い物に用いたが,プラスチック容器中の水がなくなるとその水を飲んだ。

 食事は殺菌乳,トースト,オートミール,サンドイッチ,鶏腿肉のバーベキュー,ボロニヤ風スパゲティ,ホットドッグのバーベキューであった。発病者中2名は菜食主義者で肉が感染源ではなさそうであった。

 児童はロバにさわったり,ニワトリの卵をあつめたりした。初日の夜には大量の雨が降ったが,その後天候は回復し後半は非常に暑かった。

 キャンプ終了12日後,牛乳缶の水からカンピロバクター,その他腸内細菌が,2つの小川からカンピロバクターが分離された。6人の胃腸炎症例の糞便からもカンピロバクターが分離され,4株中2株はPenner type1型,1株は2型,1株は通常家禽に関係している21型であった。

アンケート調査では成人は主に水を飲んだ者が発病したが,児童は発病に関係なく2人以外は全員水を飲んでいた。プラスチック容器と牛乳缶,水泳,ヤギやニワトリとの接触の有無で差はなかった。キャンプ終了後牛乳缶,小川などが汚染されたことも考えられるが,発病日と細菌学的事実から水由来流行と考えられる。

(CDR,86/43,1986)






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