HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.8 (1987/7[089])

<外国情報>
抗体スクリーニングドナーからの移植臓器によるHIV感染−米国


 1986年8月,30歳男性が交通事故で入院,11時間に56単位の血液製剤(全血1u,赤血球28u,凍結プラズマ7u,血小板20u)を注入,この時点の血液サンプルはHIV(−)。2日後脳死の宣告により,腎,心臓,肝臓が移植された後に,摘出時の血液がHIV抗体(+)であることが判明した。再検査の結果,輸血前血液が強陽性,輸血後は(−)。腎臓が移植された腎疾患男性のHIV抗体は3日後(−),10週後(+)。移植8日後発熱,排除反応を示したが免疫抑制剤で回復,現在まで日和見感染はなく,状態は良好である。一方,肝移植をうけた進行性肝障害男性のHIV抗体は移植4日後(−),12週後(+)。4ヶ月後発熱と不快感あり排除反応がみられたが,免疫抑制処置で回復,翌月に帰宅した。心臓移植患者は手術によって死亡した。

 本例はドナーが大量の輸血によりfalse-negativeとなった例である。このような場合,輸血前血清をスクリーニングすべきであり,もしない場合,血液銀行の検体が利用できる場合がある(多くの血液銀行は少なくとも7日サンプルを保管している)。

(CDC,MMWR,36,20,1987)






前へ 次へ
copyright
IASR