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昭和62年6月22日から7月2日の間に大阪府下の一病院未熟児センター内で5名の乳児が下痢症に罹患した。
症状は2〜3日持続する発熱および下痢症で始まり,解熱後四肢に紫斑状の発疹とGOT,GPT値の大幅上昇による肝機能異常が認められた。その後7月18日から22日の間に4名に再び1日だけの発熱があり,うち2名(bP,5)には発疹が再発した。患者はいずれも髄膜炎症状はなく,その後の経過は良好であった。
ウイルス分離は第1回目の発症例5名中4名の便または血液からエコー3型が,第2回目の発症例4名中2名の便からエコー9型が分離された。血液からの分離成功例(bT)および2種類のウイルスが続けて分離された例(bQ)は貴重な症例といえよう。
これらのことから,今回の院内感染はエコー3型の流行後,短期間に再びエコー9型の流行があったことによるものと推定された。エコー4,9型流行の際,稀に患者に肝機能障害が認められることが報告されているが,エコー3型でも同様のことがみられた例であった。
大阪府立公衆衛生研究所 山崎 謙治 峯川 好一
表
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