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Vol.8 (1987/11[093])

<国内情報>
つつが虫病の補体結合(CF)反応について


 近年,つつが虫病患者の多発に伴い,その確定診断のため臨床医家が患者血清を検査所に依頼する機会が多く,その際,多くの検査所はCF反応を主として行っているものと思われる。

 しかし,CF反応は特殊な調査研究には今なお有用な手段とされているが,つつが虫病の確定診断のためには,@抗補体作用の存在のため低力価抗体の検出が不可能なことが多いこと。AIgM抗体の検出が不可能なこと。B偽陽性を示す血清も少なくないこと等からCF反応の結果はあくまでも補助的な診断法として使用することが望ましい。したがって確定診断法として,蛍光抗体(IF)法または酵素抗体(IP)法を併せ行うことが適当と思われる。IF法またはIP法を行うことにより患者の適確な早期診断を行い,主治医の早期の適切な治療に資するよう要望する次第です。

 さらに,近年つつが虫病と類似の臨床症状を呈するロッキー山紅斑熱等の患者も徳島,宮崎,千葉の各県に発生している。つつが虫病だけを疑い患者血清の確定診断を依頼された場合,つつが虫病とは抗原的に交叉がないので,当然血清反応も陰性となるケースも出てくる。したがって,ロッキー山紅斑熱のことも考慮に入れて,紅斑熱の確定診断(IF法またはIP法)も必要な時があることを申し添える。



厚生省:公衆衛生微生物検査における精度管理に関する研究班「リケッチア感染症試薬の精度管理に関する委員会」
委員長 太田原 美作雄





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