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徳島大学医学部ウイルス学教室の内田孝宏教授,内山恒夫博士との共同研究により,四国南東部に限局して見られていた紅斑熱群エケッチア症が九州南部の宮崎県でも発生していたことが確認された(Japan. J. Med. Sci. Biol., 40,70-78,1987および本情報第8巻・27ページ既報)。
本症が宮崎県にも存在するとする根拠は以下のとおりである。
@1982年から1986年にかけて宮崎県内で発症し,血清学的に恙虫病を否定された50名の対血清のうち3名の対血清でR. montana(抗原は内田教授作製)に対する明らかな抗体価の上昇が示された(表1)。なお,R. montanaは四国の紅斑熱群リケッチア症の血清診断に用いられている。
Aこれら3例とも,高熱,全身の紅斑,刺し口の形成など,一致した所見があった。
BMynocyclineが投与された2例で,すみやかな解熱がみられた。
また,宮崎県での本症発生が明らかになった発端は,「温暖な気候や,亜熱帯植物の生育する自然条件が四国南東部に似ている九州南部にも本症の発生が予想される」という,内田教授の考えであった。
宮崎県衛生研究所 山本 正悟 川畑 紀彦
Table I. Antibody titers to the SFG antigen of patients' sera that gave negative immunofluorescence reaction with Rickettsia tsutsugamushi
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