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Vol.9 (1988/6[100])

<外国情報>
薬物乱用者のA型肝炎−米国


 ニューヨーク北部で1986年12月以降,合計256例中96が静注薬物乱用者,北カリフォルニアでは71例中30例が植物由来の流行,残り41中33が接触者で,そのうち24が薬物乱用者。肝炎サーベイランスデータでは1982〜86年の間に,薬物乱用者が4%から19%に増加した。この間全体のA型肝炎発生率および,他のリスク因子の患者はほぼ一定。

 米国でA型肝炎感染は伝統的に人口密集と非衛生,さらに率はさがるが,食物または水が関連し,リスク因子は患者との接触,途上国への旅,託児所での接触である。薬物乱用者との関連は最近のことである。デンマークで薬物乱用者のA型肝炎抗体保有率が一般より4倍高いという報告がある。説明としては(1)薬剤の汚染:培養場所で肥料などから,または輸送,製造過程などにおける汚染,(2)ヒト−ヒト接触:注射器の共用,性的接触,衛生不良状態など。散発的輸血感染例もあるが,ウイルス血症は短いから注射器等による大流行は低率だろう。それぞれルートは異なるかもしれない。対策は衛生教育と免疫グロブリンを接触2週以内に投与する。開発されつつあるA型肝炎ワクチンの接種対象候補群となろう。

(CDC,MMWR,37,19,1988)






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