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Vol.9 (1988/9[103])

<国内情報>
福島県におけるエコー18型ウイルス分離状況


 最近,エコー18型ウイルス(以下E18)が各地で検出されているが,福島県においては昭和62年6月に無菌性髄膜炎患者からE18が分離されて以来,冬季に入っても消失せず,今年6月現在いまだに継続的に分離されており,かなり長期にわたる発生となっている。現在までの約1年間の分離状況等について報告する。

 1.ウイルス分離状況

 昭和62年6月〜同63年6月までの感染症サーベイランス事業における月別エンテロウイルス分離成績を表1に示した。上記期間中に分離されたエンテロウイルスは78株であったが,このうちE18は23株(28.2%)と最も多かった。これら分離陽性者の年齢分布は0〜1歳が56.5%と最も多く,次いで2〜5歳の30.4%,6歳以上の13.0%であり,低年齢層を中心に浸淫しているものと思われる。

 ウイルス分離には,HEp2,RD‐18S,Vero,MDCKの4種細胞を使用したが,分離できたのは,すべてRD‐18S細胞からのみであった。

 分離株の同定はシュミット・プール血清を用いて中和試験で行った。なお,当初の同定に際しエンテロ混合血清(デンカ生研)を用いたところ,No.JとMおよびE11,E18の単独抗血清に交差が認められた。使用に際しては注意が必要と思われる。

 2.症状

 E18分離陽性者の臨床症状は表2に示すごとく,全体的には発熱65.2%,発疹60.9%,上気道症状60.9%,消火器症状34.8%,神経症状17.4%であったが,これらの症状を年齢的および時期的にみると,無菌性髄膜炎等の神経症を発現したものは比較的高い年齢層で流行期前半(夏期〜秋期)に,発疹や消火器症状を呈したものは低年齢層で冬期以降に片寄って発生している傾向がみられた。

 この原因については資料も乏しく,言及することはできないが,今夏期の動向が注目さされるところである。



福島県衛生公害研究所 本泉 健,須釜 久美子,猪狩 浩周,馬庭 良子


表1.エンテロウイルスの月別分離状況(昭和62年6月〜同63年6月現在)
表2.E−18型分離陽性者の臨床症状





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