Vol.9 (1988/9[103])
宮城県小児科医会に属する70の患者定点から報告された今年の手足口病の患者数は,6月が5月の12倍,7月が6月の2.7倍と6月以降急増している。この立ち上がりは1984年の夏の大流行に酷似しているが,最近は,CA16主流の流行が2年続き,3年目にEV71主流の流行がみられるようである。この順序でいくと本年はCA16の流行が一応予測されていた。 仙台市においては,検査定点の1つである東部の開業医S医院から,毎月急性気道感染症の検査依頼が多数あり,その咽頭拭い液を材料として手足口病のウイルス分離をGMK細胞を用いて試みた結果,6月に3株,中和法によりCA16ウイルスと同定した。 なお,7,8月も多くの検査依頼があり継続実施中であるが,今年の主流と考えられるCA16ウイルスが分離同定されるものと思われる。 仙台市衛生試験所 熊谷 正憲,羽場 美佳,熊坂 満朗,大堀 均,角田 行 庄司内科小児科医院 庄司 真 表