|
1987年5月,北ヨークシャーの人口9,500の小さな町で,2歳の女児が結核性髄膜炎と診断された。調査の結果,24歳の母親が1986年末頃から持続性の咳嗽を症状としており,喀痰塗抹で結核菌陽性の肺所見と同時に結核性喉頭炎をおこしていたことが明らかになった。この2つの症状を示す場合は感染力が強度であり,女児は母親からの感染と考えられた。同じ町から他に2例結核と診断された患者が発見されたが,これらはお互いに接触した形跡はなかった。大きな感染の広がりが予想されたので,これら感染者に接触した可能性のある人々の調査が行なわれたが,陽性者は検出されなかった。しかし,約1年後の1988年6月,結核性肺炎および喉頭炎を併発した26歳の女性患者が同町で見つかった。この患者は6ヵ月前頃から症状を示していたが,上記の症例とは接触がなかったので調査の対象からははずされていた。初発例発見後,検診調査をどこまで広げるべきかについて考えさせられる事例だ。
(CDR,88/25,1988)
|