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WHOの行っている下痢性疾患制圧計画の1986〜1987年報告が出された,112ヶ国がその計画下にあり,96ヶ国が実際に参加している。その数は発展途上国の98%を含んでいる。1986〜1987年の下痢性疾患の発生頻度は,発展途上国の5歳以下の子供で年に平均3.3回で,また,その年齢の子供の死亡原因の1/3以上が下痢性疾患と関連していた。治療としてoral rehydration salts(ORS)の使用の有効性が確かめられてきており,1986年にORS therapyが下痢性疾患の約23%に使われ,約70万人の子供の命を救ったと考えられた。1986年には約3.3億リットル分のORSが世界に配布されており,その量は1983年度の3倍にあたっている。ORSの成分として,グルコースの代わりにcooked rice powerを含んだ場合の方が効果が高いようである。
ワクチンとしては,rhesus rotavirusワクチン株RRV−1が1回投与で90%の型特異的防御効果をあげている。コレラワクチンでは,oral killed whole cell/B-subunit(WCV/B)ワクチンが安全でかつ1回免疫後6ヵ月間高い防御効果を示し,3回投与すれば少なくとも2年間約60%の防御を持続するという。経口生菌チフスワクチンTy21aの効果は,安全であるが3回投与後でも70%以下の効果しか示さなかった。
(WHO,WER,63,No.35,1988)
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