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Vol.10 (1989/2[108])

<国内情報>
インフルエンザウイルスAソ連型の分離について−仙台市


仙台市下愛子の広瀬中学校で,1988年12月6日に発熱(37.6℃前後),鼻汁,咳,咽頭発赤,咽頭痛等を主症状とするインフルエンザ様疾患の集団発生があり,調査の結果,今冬当市において初めてインフルエンザの集団発生を確認した。

同校の罹患および欠席状況を表1に示す。12月に入り広瀬中学校では2年生を中心にかぜ様症状がみられた。12月5日から12月12日までの7日間の罹患率および欠席率は表に示すごとくであるが,特に12月9日には全校児童578名中400名(69.2%)と最大の罹患率を示し,36名(6.2%)の欠席者をみた。分離に用いた4検体(咽頭拭い液)のうち2検体がMDCK細胞,発育鶏卵培養初代で分離され,その抗原性は表2に示したごとくワクチン株A/Yamagata/120/86抗血清とのみ反応を示した。他の2検体からのウイルス分離はできなかった。抗体検査については表3に示したが,検査した4名の赤血球凝集抑制(HI)試験による血清診断で2名にA/Yamagata/120/86抗体の有意上昇が認められた。

 以上のことから,今回のインフルエンザ集団発生の病原はインフルエンザAソ連型ウイルスと判断した。



仙台市衛生試験所 熊坂 満郎,羽場 美佳,熊谷 正憲,大堀 均,角田 行


表1.広瀬中学校学童の欠席状況
表2.分離株と各標準抗血清との反応性
表3.血清診断





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