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1988年の6月から8月にかけて静岡県下で1歳前後の乳幼児を中心に発疹症の流行が認められた。そこで,4月から9月の間に県内の7病院で発疹症患者67名から採取された84検体(ふん便,咽頭ぬぐい液,髄液)および同時期に流行した無菌性髄膜炎の患者44名由来の73検体についてRD-18S,HeLa,GMKの3種類の細胞を用いてウイルス分離を行った。また,エコー18型ウイルス(E18)分離株を用いて発疹症患者13名のペア血清について中和抗体価を測定した。
月別の分離状況を表1に示した。発疹症では67名中23名(34.3%)からE18が分離され,その時期は7月をピークとして6〜8月に限られており,今回の流行時期とほぼ一致していた。無菌性髄膜炎では44名中11名(25.0%)からE18が分離され,6,7月以外に9月にも1名から分離された。
年齢別の分離状況は,発疹症では1歳未満〜3歳に限られ,無菌性髄膜炎では3〜8歳の年齢層が比較的高率であり,3歳を境として臨床症状が異なる傾向を示していた。
検査材料別の分離状況は,発疹症では84検体中26検体(31.0%)から分離され,その内訳はふん便が6/14(42.9%)と高率であり,次いで咽頭ぬぐい液が20/67(29.9%)で,髄液からは分離されなかった。無菌性髄膜炎では73検体中15検体(20.5%)から分離され,その内訳はふん便が5/12(41.7%)で,次いで咽頭ぬぐい液が8/22(36.4%)で,髄液からは2/39(5.1%)であった。
使用細胞別の分離状況では,E18はRD-18S細胞にのみ感受性を示し,HeLa,GMK細胞では全く分離されなかった。
E18分離株を用いた発疹症患者の中和抗体価測定結果を表2に示した。発疹症患者13名のうち有意に上昇がみられた症例は7/13(53.8%)で,中和抗体価の上昇とE18分離の相関では6症例が一致していた。現在,当該年齢層のE18に対する抗体保有状況についても検討中である。
静岡県衛生環境センター 幾島 隆雄,秋山 真人,三輪 好伸,川森 文彦,中津川 修二
表1.月別のエコー18型ウイルス分離状況
表2.エコー18型分離株を用いた発疹症患者の血清中和抗体価測定結果
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