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Vol.10 (1989/4[110])

<国内情報>
パラチフスAの広域集団発生


 1989年2月4日から3月31日までに24名のパラチフスA患者が確認された。いずれもファージ型は1,全て国内での感染とみられる。患者の地域分布は,神奈川6,長野4,東京4,埼玉3,山梨2,千葉2,静岡1,愛知1,三重1と,9都県にまたがっている。性別では男16,女8。年齢分布は60代3,50代3,40代2,30代5,20代6,10代4,10歳以下1であった。これまでのところ家族内での発生は見られていない。

 厚生省結核・感染症対策室では各都県衛生部に対して患者の発病前の行動および喫食調査をお願いしているところであるが,現在まで流行の原因は掴めていない。発病日による週別患者発生状況を図に示したが,発生はまだ終息しておらず,新たな患者の発見と情報の提供を,改めて関係各位にお願いする。本事例のような広域にまたがる流行の場合は飲食物を介して流行が広がることが多いので,外食の有無,食事の嗜好など,喫食調査に於いては特にきめ細かな調査をお願いしたい。

 1988年のパラチフスAの発生総数は33(うち輸入例19),ファージ型1による発生は14(同8)であった。ちなみに昨年2月および3月のパラチフスAファージ型1の発生は2例でいずれも海外由来であった。



予研細菌部ファージ型別室 中村 明子


パラチフスAの週別発生状況





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