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肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)を原因とする異型肺炎,すなわちマイコプラズマ肺炎の流行には周期性がみられ,わが国においては4年周期でオリンピックの年が流行年に当たるといわれている。著者らは静岡県下におけるマイコプラズマ肺炎の発生状況を把握し流行を予測する目的で,昭和59年4月以来,臨床的に本症が疑われた小児科の患者材料を対象に当該病原体の分離状況を調査してきた。
図1に昭和59年4月から平成元年3月までの月別の分離数を示した。分離率を年度別に比較すると昭和59年度は27.7%(41/148),60年度20.0%(19/95),61年度16.0%(13/81),62年度27.3%(27/99),そして63年度は30.2%(89/295)であった。これまでの成績から本症の流行は59年度と63年度に認められ,4年周期の傾向がみられた。しかし,非流行年にあたる時期(60年度〜62年度)でもかなりの分離例がみられた。また,59年度は7,8月に,63年度は10,11月に高い分離数を示し,63年度の分離数は59年度の2倍以上であった。最近5年間の月ごとの分離状況を図2に示した。月別の分離率は8月が50.0%(30/60)と最も高く,次いで10月40.0%(34/86)の順で,6月〜11月(8月,10月を除く)はいずれも30%台であり,初夏から晩秋にかけて患者が多発する傾向がみられた。
年齢別の分離状況をみると(図3),6歳〜8歳からの分離が最も多く(各23名),次いで9〜10歳の17名ずつであった。5歳以下の分離率は低かったが,患者が少ないといわれる乳児からも3例の分離がみられた。
静岡県衛生環境センター 三輪 憲永,赤羽 荘資,斉藤 祥博,中津川 修二
図1.肺炎マイコプラズマ月別分離数
図2.肺炎マイコプラズマ月別分離状況(昭和59年度〜昭和63年度計)
図3.肺炎マイコプラズマ年令別分離数
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