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Vol.10 (1989/10[116])

<外国情報>
百日咳サーベイランス−英国


 英国での百日咳は3〜4年おきに流行を繰り返す。1960年代から1970年代前半までは小規模流行に終っていたが,1970年代後半にワクチン接種率が低下してからは,1977/79,1981/83,1985/87にそれぞれ大きな流行が起こった。1980年代になってワクチン接種率は上がったが(1987年は73%),まだかなりの数のワクチン非接種児童が残されており,2年先(1989/91)には再び流行が予想される。英国では従来分離菌の血清型別を実施してきた。1985年以降は血清型1,2が分離菌の約60%を占めている。1,3型は1985年の23%から88年は33%とわずかに上昇したが,これはワクチン接種率の増加に伴って血清型1,2,3と入れ替わったためと思われる。凝集素2を持つ1,2型および1,2,3型の分離率が依然として高いのは,ワクチン非接種児の間に感染が広がっているためであろう。

 無細胞ワクチンが世界各地で使われ始めているが,抗原含量については必ずしも明確でない。WHOは全菌体ワクチンには凝集素1,2および3を含むよう勧告している。百日咳菌の血清型の動向を引き続き監視することが大切である。

(CDR,89/34,1989)






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