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Vol.11 (1990/2[120])

<外国情報>
インフルエンザ−世界の情勢


 英国:一般定点医からの報告は1989年第46週から上昇し始め,10万対の報告数は47週の29.9から49週に272.1,50週255.8となったが,51週には91.0に低下。ピーク時の州の総死亡数は17,613,呼吸器関連死亡は2,275で,いずれもこの時期の予想値よりも高いが,1975/76および1977/78流行期より低い。インフルエンザまたはインフルエンザ肺炎による死亡は472と発表された。1月は発生数,死亡数とも低流行年のレベルである。多数のA(H3N2)と4株のB型ウイルス分離およびA(H1N1)の血清診断例が1例確認された。

(CDR,89/50&51,1989,90/03,1990)

 米国:初の集発は11月コロラド州の保育所でA(H3N2)が分離された。10月〜12月18日までに19州から42株のウイルス分離報告があり,同定された19のうち,16がA(H3N2)でA/上海/11/87類似型,3がA(H1N1)でA/台湾/1/86類似型。シーズン中CDCは患者および分離情報を受け付けており,電話による情報提供をおこなっている。   (CDC,MMWR,38,No.50,1989)

 その後12月末から1月初めに流行が拡大し,35州がA型感染を確認,ほとんどがA(H3N2)だが,3州はA(H1N1),1州がB型を分離した。

(WHO,WER,65,No.2,1990)

 カナダ:12月初めからA(H3N2)の地域流行が報じられ,12月後半に一度低下したのち再び増加している。

 フランス:11月末からパリで流行が始まり周辺に拡大,過去の流行を越える勢いであったが,12月後半に北部では低下傾向がみられた。ほとんどの分離株はA(H3N2)で,A(H1N1)が1株と少数のB型が検出された。

 ソ連:流行が12月第2週に4市に始まり,月末には20市となった。モスクワ等では12月後半のピーク時には住民の1.6〜2.8%が罹患した。A(H3N2)が6市で分離された。

 上記以外に地域流行または散発例がベルギー,フィンランド,ノルウェー,スウェーデン,スイス,ブルガリア,西ドイツ,イラン,イタリア,韓国,スペイン等で報じられ,ほとんどすべてがA(H3N2)感染である

(WHO,WER,64,No.51/52,1989 WHO,WER,65,No.2,1990)









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