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今シーズンの県内の流行は,A(H3)型に始まり,A(H3)型とB型の混合となり,後期にはB型が主流となった。すなわち,A・B両ウイルスの混合流行である。
今回,同一人が短期間中にA・B両ウイルスに感染したと考えられる事例が,うがい液からの分離試験で1例,血清反応で3例確認された。
T.分離試験
サーベイランス事業により得た検体であり,7歳女児のものである。平成2年1月16日の検体から,A(H3)型ウイルスが分離され,同年2月9日の検体からB型ウイルスが分離された。
U.血清反応試験
3例は学校の集団発生から採取した検体である。
1.赤血球凝集抑制試験
例1:M.S(8歳女),A/山形/120/86に対し,16倍から128倍に,B/山形/16/88に対し,16倍から64倍に抗体価が上昇した。採血間隔は14日であった。
例2:A.K(11歳女),A/北海道/20/89に対し,64倍から1,024倍に,B/山形/16/88に対し,32倍から256倍に上昇した。採血間隔は21日であった。
例3:J.T(8歳女),A/北海道/20/89に対し,32倍から1,024倍に,B/山形/16/88に対し,128倍から2,048倍以上に上昇した。採血間隔は14日であった。
2.補体結合反応
例1M.Sは,A型に対しては4倍以下が4倍に,B型に対しては4倍以下が64倍以上に,例2A.Kは,A型に対しては4倍が32倍に,B型に対しては4倍以下が64倍以上に,例3J.Tは,A型に対しては4倍以下が4倍に,B型に対しては4倍以下が16倍に,抗体価が上昇した。A型に比べB型の変動は著明であった。
以上のことからも,同一人が短期間にA型,B型両ウイルスの侵襲を受け,それぞれについて感染が成立したものと考える。
なお,ワクチン接種は,例3J.Tのみが実施している。
千葉県衛生研究所 小川 知子,山中 隆也,時枝 正吉
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