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Vol.11 (1990/10[128])

<国内情報>
1989年度に発生したつつが虫病患者−千葉県


 当研究室において,つつが虫病の血清検査を始めた1982年以降,1988年までに血清学的に患者と確認できた数は,年間50〜70名前後であった。発生地区は,県南部地区が中心であり,一部は県中部から県北東部にかけてであった。発生時期は11月,12月で,全体の発生件数の90%以上を示していた。

 記録的な暖冬であった1989年度(1989年4月〜1990年3月)に血清学的に患者と確認できたのは159件と,例年に比較して2〜3倍の数であった。患者発生地区は例年通り県南部が中心であったが,新たに県北西部に位置する沼南町でも患者が確認された。発生時期も例年と変わらず159件中144件が11月,12月に集中していた(表1)。この他に,急性期血清のみで血清学的につつが虫病と決められない検体が46件あったが,これら検体の多くがつつが虫病様の臨床症状を呈していた。

 1989年度の患者数が例年に比較して急増した原因については不明であるが,千葉県におけるつつが虫病患者発生地区は,確実に広がっているものと思われる。



千葉県衛生研究所 海保 郁男,時枝 正吉,田中 寛


表1.つつが虫病の月別・保健所別発生状況





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