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Vol.11 (1990/10[128])

<国内情報>
千葉県のAHC,EKC様患者から分離したCox.A24変異株の検討


千葉県衛生研究所 酒井 利郎,春日 邦子,山中 隆也,時枝 正吉,市村 博,田中 寛
国立予防衛生研究所 吉井 孝男


 前年度にひきつづき,1989年9月〜11月にかけて,県内の銚子,佐倉,茂原の3地区でAHCおよびEKC様疾患の流行がみられた。3地区でこの間採取した71検体(銚子20検体,佐倉9検体,茂原42検体)のうち43検体からコクサッキー(Cox.)A24変異株ウイルスを分離した。この3地区で分離したウイルス各々5株(計15株)を用いて予研標準抗血清(NV−87−37 Lot13)に対して中和試験を行った。3地区から分離したウイルス株は,いずれも32倍の中和抗体価を示し,すべてが抗原的に同じタイプのウイルスと考えられる。また,Chiba/385/89株(43株中の代表株:茂原地区)とシンガポール株(EH24株)抗血清およびガーナ株(NV−87−37株)抗血清による交差中和試験を行った(図1,2)結果,千葉県で分離した株(Chiba/385/89)は,シンガポールおよびガーナで分離されたウイルスとは異なる中和能を示した。

 1985年5月〜6月に採血した中学2年生の血清の抗体調査(200名)では,EH24株および分離株のいずれかに対する中和抗体保有者は5名で,2.5%であった。

 さらに1990年度は,AHC(16件),EKC(28件),その他の眼疾患6件,計50検体を採取し,2検体からAdeno19ウイルスを分離した。今後の動向に注意したい。

 検体採取に係わる労をいただいた永吉の眼科病院,銚子市立総合病院,島田医院,成田赤十字病院および3地区の保健所の関係者の皆様に深謝致します。



Fig.1 Neutralization test of anti-CA24 variant (EH24) rabbit serum, Lot.10
Fig.2 Neutralization test of anti-CA24 variant (NV-87-37) rabbit serum, Lot.13





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