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Vol.12 (1991/2[132])

<国内情報>
群馬県におけるエコーウイルス30型による無菌性髄膜炎の流行について


県下で流行した無菌性髄膜炎(AM)から分離されたウイルスはエコーウイルス(E)30型であった。

1990年7月県中央部においてAMの患者の散発的な発生がみられ,8月下旬になると東部地区よりAM患者が急増し,流行のきざしが確認された。9月下旬には南西部からの検体も加わり,県内各地から検体搬入が相次いだ。AM患者からの検体(咽頭ぬぐい液,便,髄液)は10月にピークとなった(表1)。

今回,AM患者からのE30の検出は県内において初めてである。現在までに患者の咽頭ぬぐい液114件中72株(63.2%),便87件中60株(69.0%),髄液114件中44株(38.6%)が検出されている。なお,夏かぜ様疾患からもE30が11株検出されている。

E30の検出はRD−18S細胞,Vero細胞,HeLa細胞(一部)を用い,RD−18S細胞により接種後2〜3日でCPE を生じ,1代目で分離できた。

AM患者の急性期,回復期血清をE30標準株(E30 Bastianni株)と当衛研分離株(E30 Gunma 328株)で中和抗体価を測定したところ,表2に示すとおり,E30を検出した患者の急性期,回復期の差は4倍以上の上昇を認めたものがE30標準株(E30 Bastianni株)で15人中5人(33.3%),E30分離株(E30 Gunma 328株)では44人中40人(90.9%)であった。また,E30を検出しなかった患者からはいずれも抗体の上昇は認められなかった。

E30が検出されたAM患者90例の臨床症状は発熱,嘔吐,頭痛が主症状であった。発疹,消化器症状,けいれんを伴った例も少数ながら認められた。また,年齢分布をみると表3に示すとおり,0歳から成人に及んだが,3歳から8歳にかけて集中した。最低年齢は1ヵ月児であった。また,男性に多い傾向が認められた。(表3)。



群馬県衛生公害研究所 飯塚登美世 赤見正行 五十嵐艶子 高橋敦子 白石寛爾 伊藤 隆


表1.AM患者の月別検体数とE30検出状況
表2.AM患者のE30型抗体保有状況
表3.AM患者の男女別,年齢別分布状況





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