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Vol.12 (1991/2[132])

<国内情報>
Echo30ウイルスによる髄膜炎の流行−川崎市


1990年中に,川崎市立川崎病院小児科に入院した無菌性髄膜炎(AM)例は,MMRワクチン後の症例やおたふくかぜに合併した例を除くと21例で,全入院患児の約5%にあたる。図1にAM入院例の月別分布を示した。年齢は生後25日から13歳にわたり,7歳以下が19例(90%)を占めた。AM全例にウイルス分離を試みたわけではないが,被検10例中,7例の髄液から,他1例の咽頭,直腸スワブからウイルスが分離同定された。夏期にはCox.A群が中心でB群も認められた。ここまでは例年通りであるが,10月に入って,Echo(E)30が5例の髄液から分離された(図1)。分離に使用した細胞はRD−18Sである。E30は,1983年にわが国で初めて全国的な流行をみたが,この時もAMが多発した。

1990年9月,栃木県の自治医大・地域医療学教室の石橋幸滋先生が,保育園や幼稚園でAMが多発していると知らせて下さった。群馬衛研の情報でもE30らしいことがわかっていたので,川崎市ではどうかと関心をもっていたところであった。

1983年のE30の流行時,小児科夜間救急外来を熱性けいれんで受診する患者が急増したが,今回の1990年10月〜11月のE30の流行では,必ずしも明瞭な傾向は認められなかった。熱性けいれんの集中的発症と,流行病との相関が認められるのは,他にはインフルエンザで顕著である(図2)。なお,生後25日のAM例は,7月に群馬県館林市に里帰り分娩してきたケースである。



川崎市立川崎病院小児科 武内可尚
川崎市衛生研究所 春山長治 福田依美子


図1.無菌性髄膜炎入院例(川崎市立川崎病院小児科)
図2.熱性けいれんで夜間救急外来を受診した患者数(川崎市立川崎病院小児科)





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