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Vol.12 (1991/2[132])

<国内情報>
無菌性髄膜炎患者からのウイルス分離について−熊本県


1990年夏期における熊本県内の無菌性髄膜炎(AM)の流行について,その概要を報告する。

感染症サーベイランス情報における月別発生状況は表1のとおりで,0〜4歳児と5〜9歳児の患者数はほぼ同数であった。

この間,県内5ヵ所のサーベイランス定点医で採取された患者40人の咽頭拭い液,髄液,便,計93検体についてウイルス分離を行った。患者の年齢層は0〜12歳で,平均年齢は4.8歳であった。

また,同時期に手足口病も流行しており,合併症を起こした患者(2名)の検体も併せて搬入されたが,ウイルスは分離されなかった。

分離にはHeLa,BGM,RD−18Sを用いた。各検体の分離率は咽頭ぬぐい液52%,髄液27%,便64%であった。

分離ウイルスはEcho(E)9が32株,E30が4株,Cox.A9が5株,Cox.B5が2株,アデノ1.5型が各2株,アデノ2,4型が各1株であった(表2)。

ウイルスが分離された患者は28名で,うち1名からは3種類(E9,アデノ1,アデノ5),他の5名からは2種類(E9とCB5,CA9またはE9とアデノのいずれかの型)が分離された。

エンテロウイルスはRD−18S,BGM細胞でよく分離できた。CBおよびアデノウイルスはHeLa細胞で分離された。

流行の主流はE9であり,7月〜9月に21名から分離した。9月中旬に入り,2人の患者からE30が分離された。また,CA9は宮崎県境の熊本県東部地区の4名の患者からのみ分離された。このウイルスは九州では,昨年度大分県で1件報告されているが,今年度の報告はまだない。侵入経路は不明だが,この地域で局地的な流行を起こしたと思われる。



熊本県衛生公害研究所 中島龍一 村川 弘 矢野俊昭 甲木和子


表1.無菌性髄膜炎患者発生状況(1990年)
表2.無菌性髄膜炎患者からのウイルス分離(1990年)





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