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1991年1月29日,リマの北部チャンケイで下痢症が多発しているとの報告がペルー厚生省疫学局にあり,翌30日には調査チームが現地に派遣された。初発患者は1月23日に多量の水様性下痢,嘔吐で発症。NIH等での検査の結果,患者の便からコレラ菌O1,エルトール稲葉型が分離された。患者発生はペルー東部沿岸を北上する形で各市に広がっており,1月24日から2月9日までに入院患者1,859名,死亡66名の報告があった。調査は続行中であるが,厚生省はマスメディアを通じて1)生水を飲まぬこと。2)果物,野菜等はよく洗うこと。3)魚介類を生で食べないこと。を国民に呼びかけている。
南米でのコレラ流行は今世紀では初めてで,現在のコレラパンデミー(1961年に東南アジアを起点としたエルトール型菌によるもの。アジア,アフリカで流行中)との関係についても調査中である。コレラ流行地を旅行した米国民がコレラに罹患する確率は低く,過去20年間で10名であった。これは旅行者50万人につき1人以下である。流行地への旅行者に対するワクチン接種は不必要で,生もの,生水の摂取を避けることで予防可能である。(CDC,MMWR,40,No.6,108,1991)
1991年2月8〜14日の報告によるとペルーのコレラ患者数は7,089,死亡数49名に達した。患者の発生はリマ,チンボテ,ビウラが主である。他地区でも下痢患者が多発しているが,確定診断に至っていない。すでに患者から分離同定された4株のコレラ菌はテトラサイクリン,サルファ剤,クロラムフェニコール,トリメトプリムに感受性であった。
(WHO,WER,66,No.7,47,1991)
1991年2月15〜21日のペルーにおけるコレラ患者発生数は20,580,死者108に達した。
(WHO,WER,66,No.8,56,1991)
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