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Vol.12 (1991/4[134])

<国内情報>
佐賀県において検出した非定型ロタウイルス


佐賀県では1985年度以来,感染症サーベイランスの一環として急性胃腸炎患者のウイルス学的検索を行っている。また,1987年度からSDS−ポリアクリルアミド電気泳動(PAGE)法を併用し,検出されたロタウイルス核酸のPAGEパターンによる泳動型の分析を行っている。今回,通常検出される定型的なA群ロタウイルスと異なる泳動型を示した非定型のロタウイルスが2例から検出されたので報告する。

第1例は1989年2月,県北西部の北波多村で発生した嘔吐と下痢を主徴とする急性胃腸炎集団発生事例(患者数82名)において,7歳男児から検出した。検出された株のPAGEパターンはA群ロタウイルスと比較して,核酸の第7分節の移動度が小さく,第5,6,分節のグループと一緒になっているとともに第10,11分節の移動度がL型の第10,11分節の移動度より大きい特徴を示した。このようなパターンは最近,各地で報告されはじめているC群ロタウイルスに酷似していた。この事例では免疫電子顕微鏡法等による抗体調査を行っていないので,検出された株が起因ウイルスであるかどうかは確認できなかった。また,同時に行った細菌検査においても起因細菌を特定することはできなかった。

第2例は1990年3月,県南西部の鹿島市の感染症サーベイランス自主定点において1歳男児から検出した。そのPAGEパターンは第1例と同様なパターンを示した。

なお,これら2株の非定型ロタウイルスは電子顕微鏡により確認されたが,市販の抗原検出キットでは検出されなかった。

以上のように,佐賀県においても非定型ロタウイルスの浸淫があり,距離的にもかなり隔てた2地区から検出されたので,今後の動向に注目して検索を続けている。



佐賀県衛生研究所 船津丸貞幸 山田裕子 田口外代雄 土田龍馬
村山小児科医院 村山明男


図.佐賀県で下痢症患児下痢便から検出された非定型ロタウイルスのSDS−ポリアクリルアミド電気泳動パターン





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