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1991年1月末に始まったペルーでのコレラ流行は,予想を超える勢いで周辺諸国にまで広がり,5月7日現在の患者数は177,000,68,000が入院し,1,300の死亡が報告された。罹患率0.8%,致命率0.7%であった。
疫学調査の結果,流行は複数の原因で広がったと考えられているが,当初はコレラ菌で汚染された上水道からの感染が濃厚である。事実ビウラ市やトルヒョ市等の水質検査では残留塩素ゼロ,大腸菌群陽性あるいはコレラ菌陽性の飲料水が見つかった。さらに,海水や沿岸でとられた海産物からもコレラ菌が検出され,流行の一因であることが推察された。一方,EECおよびFDAからの調査団により輸出用の魚(遠海もの等),加工食品等は安全であることが確認された。
当局の努力にもかかわらず,いまだ患者発生は続いているが,致命率の増加は食い止めている。安全な上水道施設が貧弱な現状では,中南米がコレラの常在地になることも考えられる。
(WHO,WER,66,No.20,141,1991)
コレラ−アメリカ大陸(1991年5月現在)
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