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Vol.12 (1991/7[137])

<外国情報>
世界のマラリア,1989


全世界人口51.6億中,16.2億人(31%)はマラリア撲滅途上地域,4.9億人(10%)は常在地域に居住している。WHOの報告例は顕微鏡で確認され,処置を要する例とされているが,臨床診断だけの報告国もある。発生報告数は年合計1.1億人,パラサイトキャリアは約2.8億人であるが,これはラフな数字で,たとえば熱帯アフリカは患者の80%,キャリアの90%以上が住むとみられるのに推定数の2〜6%しか報告されていない。アフリカ以外の報告数は約520万,このうち39%(約200万)がインド,11%がブラジル。25%がタイ,スリランカ,アフガニスタン,ベトナム,中国およびミャンマーである。

Plasmodium falciparumが熱帯アフリカの重症マラリアの病因である。他の地域ではP. falciparumが1970年代の15%から1989年は41%に増加した。死亡例は1986年に米大陸で1,428例が報告されたが,ブラジルのアマゾン地域だけでも6,000〜10,000人が推定されている。マラリア発生報告が1975〜79年の間に低下したのは主にインドの減少によるもので,その他では中国で減少しているが,これ以外の地域の状況は悪化している。P. falciparumのクロロキン抵抗株が各国で報告され,とくにアフリカでは対策の障害になっている。スルファドキシン/ピリメサミン抵抗株は東南アジア,南米およびアフリカで発生,また,最近のタイの報告によれば,50%以上の患者がmefloquine治療に反応しない地域があるという。一方キニーネ感受性の低下がタイ,ベトナム等でみられている。

(WHO,WER,66,No.22&23,1991)



Table 1 Number of malaria cases reported, by WHO Region (in thousands), 1981-1989





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