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Vol.12 (1991/8[138])

<外国情報>
英国の輸入マラリア,1989&1990


過去数年,英国の輸入マラリア例数は年あたり約2,000のレベルが続いているが,内訳をみるとfalciparumマラリアの割合が次第に増加している。1989/90年の2年間の患者4,083例中,P. falciparumが52%(1986年は31%),これ以外に他のマラリアとの混合感染が2%報告された。すべて輸入例で,国内感染は全くなかった。感染地として100例以上が報告されたのは6ヵ国(ガーナ,ナイジェリア,ケニア,ウガンダ,インド,パキスタン)である。アフリカ感染ではP. falciparumが3/4以上,アジア感染ではP. vivaxが90%を占める。英国の患者の大部分が旅行者と定住移民の海外知人訪門による感染であり,特に後者が全患者の1/3を占める。2年間に8人が死亡,すべてP. falciparum感染で,1例(膵臓摘出者)以外は治療されなかったか,インフルエンザと誤診されて診断が遅れた例である。今後の問題としてP. falciparum感染の増加と多剤耐性化が重要であろう。対策は,蚊にさされないこと,予防投薬および早期治療である。

(CDR,1,Review No.5,45,1991)






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