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1990年7月,焼き魚を原因食とするボツリヌス中毒が発生した。患者は同一家族の3名で,嚥下困難,筋無力,呼吸障害等の症状で入院したが,ボツリヌス抗毒素による治療で全員救命した。治療開始後に採られた患者血清からの毒素検出は陰性であったが,便からはボツリヌスB型菌が検出された。
原因食は焼き魚(新鮮なpalani)で,内臓を食べた3人が発症し,白身だけを食べた1人は発症しなかった。CDCで検査の結果,残っていた魚からボツリヌスB型菌およびB型毒素が検出された。
1950〜1989年に米国で発生したボツリヌス中毒の13%(48/365)は魚に関連があるが,いずれも保存食による中毒でE型が多い(B型は過去3例のみ)。今回の食中毒は米国では初めての鮮魚による事例であったが,原因食と考えられる魚の内臓は加熱が不十分であった可能性が高い。
(CDC,MMWR,40,No.24,412,1991)
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