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Vol.12 (1991/10[140])

<国内情報>
石川県におけるエコーウイルス30型による無菌性髄膜炎の流行


1991年6月から7月にかけて,これまで経験したことがない数の無菌性髄膜炎(AM)患者の髄液検体が,県内検査定点病院小児科,神経内科から寄せられた。表に,石川県で初めてAM患者髄液からエコーウイルス30型(E30)が分離された1990年12月から1991年8月にかけての,MMRワクチン接種後を除いたAM患者髄液検体の月別,地域別受付状況を示した。総数は90件で,受付は6月と7月に集中しており,両月で78件と87%を占めている。検体受付数でみる限り,患者の発生は金沢市を中心とする石川中央と能登に集中している。表中( )内に感染症サーベイランスの患者数を示した。石川中央の金沢市と北能登からは,検体送付があったにもかかわらず患者の報告がなく,実報告数はもっと多いと推定される。ウイルス分離はHEp2細胞とRD−18S細胞とを用い,前者で53例,後者で50例,両方合わせて56例分離できた。うち6例はHEp2のみで,3例はRD−18Sのみで分離された。分離率は62%で,分離株はすべてE30であった。分離月と株数は,7月35株,6月18株,12月,3月,4月各1株で,8月には分離されていない。また,患者の住所別の株数は,金沢市22株,輪島市12株,七尾市8株,志賀町6株,その他2市5町1村各1株である。この数字は表の分離数と合致しないが,これは表が提出病院の住所地域で示されているためで,患者の住所別にすると,検体数は,石川中央36,南能登37,北能登17,分離数はそれぞれ26,17,13となる。

髄液検体の送付があったAM患者90人の年齢群別内訳は,0〜4歳17人,5〜9歳34人,10〜14歳10人(以上61人小児科),15〜19歳2人,20代12人,30代11人,40代1人,50代2人,60代1人(以上29人神経内科ほか)で,5〜9歳が最も多かったほか,20代,30代も比較的多かった。0〜14歳のうちでは,1,2歳と12歳の検体はなかった。また,E30が分離された56人の年齢は,上記年齢群の順に9人,27人,6人,1人,6人,5人,0人,1人,1人であった。0〜14歳が42人,15歳以上が14人,分離率はそれぞれ69%,48%であった。分離陽性の最高齢者は60歳女性(南能登),最年少者は生後1ヵ月女児(石川中央)である。



石川県衛生公害研究所 木村晋亮 尾西 一


AM患者髄液検体受付数とサーベイランス患者数ならびにE30分離陽性数(石川県)





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