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Vol.13 (1992/3[145])

<国内情報>
新生児の無菌性髄膜炎の集団発生例−香川県


 今季流行の香川県下における無菌性髄膜炎の起因ウイルスは,エコーウイルス(E)30型を主流とするもので,コクサッキーウイルス(C)B4型との混合流行となった1989年以来である。

 ウイルス分離は,患者数,送付検体数がともに増加した7月にE30,CB5が分離されたが,CB5は7月に限局し,それ以降E30が継続して分離され現在までに181株となった。また,流行パターンを患者数,ウイルス分離数からみると,ピークをもたない長期間の発生が観察されたが,1992年1月に入って患者発生の低下が認められた。

 この期間中,某産科医院新生児に無菌性髄膜炎の集団発生があった。最初に1母親とその新生児(生後6日)が発熱,その後,同産科医院新生児室の新生児6名(生後5〜12日)が3日から6日後に発熱し,全例無菌性髄膜炎と診断された。新生児7例中6例に発疹を認め,全例経過は良好であった。この間におけるウイルス分離は新生児7名の咽頭ぬぐい液,髄液,糞便,尿の各材料,また,3名の母親の糞便全例からE30が分離同定された。

 今回,ウイルス分離に用いた細胞はRD-18S,HEL,FL,HeLa細胞で,E30はRD-18S,HEL細胞に高い感受性を示し,特にHEL細胞で初代分離でも高い感染価が得られた。



香川県衛生研究所    三木 一男,藤井 康三,山西 重機
国立療養所香川小児病院 岡田 隆滋


無菌性髄膜炎からのエコーウイルス30型分離状況





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