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Vol.13 (1992/4[146])

<国内情報>
1991年岐阜県における無菌性髄膜炎の流行と混合感染例の検出


 1991年岐阜県における無菌性髄膜炎の検査依頼数は,1月〜6月は1か月に10人以下の検査状況であった。しかし,7月から検査依頼数は急増し,表に示したように,12月までに150名に達した。1月〜6月は,表から明らかなように4月にムンプスウイルスが1名の患者から分離されたのみであった。7月〜12月には131名の検査を実施し,81名(61.8%)からウイルスが分離された。エコーウイルス30型(E30)69名,エコーウイルス9型(E9)10名,コクサッキーウイルスB4型(CB4)1名,E9とE30の混合感染1名が確認された。

 検査材料としては,咽頭ぬぐい液44検体,髄液114検体,糞便41検体の合計199検体について検査した。咽頭ぬぐい液からは34株,髄液からは56株,糞便からは37株のウイルスを分離した。髄液からはE9(3株),E30(52株),CB4(1株)の3種のウイルス型が分離された。このことから,岐阜県で1991年に流行した無菌性髄膜炎の病原ウイルスは,これら3種のウイルス型であることが確認できた。表に示したようにE9とE30が分離された症例は,髄液からはE30が分離され,糞便からはE9が分離された。同一地区に種々のウイルスが流行している場合には,混合感染が証明されることがあるが,髄液から分離されたウイルスが病原ウイルスと考えるのが妥当である。

 E30分離ウイルスの同定には,最初20単位の標準株に対する自家製家兎免疫血清で同定しようとしたが,同定できない株が見出されたので,50単位を使用した。大部分の株はこの単位の抗血清で中和されたが,なかには中和されない株も認められた。



岐阜県衛生研究所 三輪 智惠子


無菌性髄膜炎患者における月別ウイルス分離状況(1991)





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