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1990/91シーズンはB型が主流で,A(H3N2)が米大陸とオセアニアで,A(H1N1)がヨーロッパで流行した。
1991/92シーズンはA(H3N2)が主流で北米およびヨーロッパで流行,一方,A(H1N1)が日本,米国東部で流行した。B型は少なかった。
A(H3N2)ウイルスはA/北京/353/89に類似型でこれを含むワクチンによる抗体は分離株に同等に反応した。
B型分離株はワクチン株B/ビクトリア/2/87,B/山形/16/88およびB/パナマ/45/90と類似型であった。少数だが1991年10月以降抗原的多様性が認められた。
A(H1N1)分離株では抗原的に差がみられ,ほとんどはA/台湾/1/86(A/シンガポール/6/86に類似)抗体とよく反応したが,代表的変異型であるA/テキサス/36/91は繰り返しのテストでワクチン免疫抗体に反応が弱かった。この結果は重要なのでさらに検討を続行中である。したがって1992/93シーズン用ワクチン株として次が推奨される。
A/北京/353/89(H3N2)型株
B/山形/16/88またはB/パナマ/45/90型
型株
A(H1N1)は後日発表される。
(WHO,WER,67,bX,57,1992)
A/シンガポール/6/86(H1N1)型株を抗原としたワクチンで産生された抗体に対する反応を多くの最近の分離株で比較した結果,反応の差はウイルスの継代歴と,非特異血清インヒビターに対する感度の違いによるとみられた。すなわち,最近の株で測定したワクチン投与後の抗体の幾何平均値はウイルスの継代歴によってワクチン株の25〜100%の範囲を示し,また,少数の接種者はある株に対してHI抗体価≦1:40であったが,これも継代歴によった。しかし大部分の最近のH1N1分離株はワクチン接種後の血清に対してワクチン株たとえばA/台湾/1/86と同様に反応した。結果として次が1992/93シーズンワクチン株として推奨された。
A/シンガポール/6/86(H1N1)型株
(WHO,WER,67,13,95,1992)
Table 1 Haemagglutination-inhibition tests of influenza A (H3N2) viruses
Table 2 Haemagglutination-inhibition tests of influenza A (H1N1) viruses
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