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Vol.13 (1992/6[148])

<国内情報>
急性気道感染症からのウイルス分離(仙台,山形1991年1〜12月)


 1991年1月から12月までの1年間に仙台市および山形市で小児急性気道感染症から分離されたウイルスについて報告する。

 対象:仙台市はすべて永井小児科医院の外来患者であり,山形市はすべて山形市立病院済生館小児科の外来および入院患者である。

 方法:患者から採取した咽頭ぬぐい液は凍結しないで冷蔵庫に保存し,仙台では2日ごとに,山形からは週2回まとめて輸送した。

 当ウイルスセンターに届けられた材料はその日のうちに,HEL,HEp-2,Vero,MDCK,HMV-Uの5種類の細胞に接種した。方法はマイクロプレート法に従った。

 結果:

1.分離率

 仙台では2,312件のうち719(31.1%)陽性であったが,山形は3,232件のうち622(19.2%)陽性であった(表1)。これは接種までの保存期間および保存条件の差によるものと考えられる。

2.分離ウイルスおよび流行状況(図1,2)

 1)インフルエンザ:仙台,山形ともにA(H3N2)の流行が2〜3月にみられ,同時にA(H1N1)が少数1〜5月に分離された。Bは仙台で3〜4月にみられたのに対して,山形では遅れて4〜6月にみられた。

 2)パラインフルエンザ:1型,3型は仙台と山形で同時期に分離されたが,2型は仙台で9〜12月にかなり分離されたにもかかわらず,山形ではまったく分離されなかった。

 3)RS:仙台,山形ともに11〜12月に多数分離されたが,夏でも少数の分離は認められた。

 4)アデノ:1〜6型が分離された。1型,2型は年間を通じて仙台,山形ともに少数例分離されたが,3型は仙台で1〜7月に流行が認められたのに対して,山形では11〜12月に流行が認められた。4,5,6型のなかでは5型が比較的多く,6型は少数の散発が認められた。

 5)エンテロ:仙台,山形ともに6〜9月にEcho30の流行が認められた。ポリオはワクチン接種時期にのみ分離された。9月以降のエンテロウイルスはEcho30ではないが未同定である。



国立仙台病院ウイルスセンター


表1.急性気道感染症から分離されたウイルス(仙台,山形 1991年)
図1.仙台市(永井小児科)1991年1〜12月
図2.山形市(市立病院済生館 小児科)1991年1〜12月





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